【林道×バイク】必読!林道攻略術(Vol.6)|注意したい“急勾配・ぬかるみ”に備える3つの基本対策

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はじめに

こんにちは、アドベンチャーレオ林道部の岩田です。
前回は、初心者にも安心なフラットダートを走る様子を例に、林道ツーリングの楽しさをご紹介しました。

今回は、林道で出くわす「ちょっと手ごわい路面たち」にスポットを当てます。
「フラットだから大丈夫」と言われて行ったら全然フラットじゃなかった…なんて経験、ありませんか?

林道は“生き物”。前回走った道も、次行ったら全く違う顔を見せてくることも。
この記事では、よくある林道の路面状況と、それぞれへの備え・心構えについてまとめました。

1.フラットダートは“いつも”フラットじゃない?

一見、初心者にやさしそうなフラットダート。
でも実は、“どこまでがフラットか”の定義があいまいなんです。

よくある“フラット”の例:

  • 表面が均一な砂利や土の道
  • 小石はあるが走行に支障がない程度
  • 軽い勾配があっても滑らない



画像:見事なまでに平坦で綺麗なフラットダート


画像:小石は転がっていますがこの程度であれば十分フラットです


画像:細かい砂利道ですが道そのものは均一に平坦なのでフラットダートの範囲です


画像:勾配はありますが、路面そのものは平坦なのでこれもフラットダートの範疇です



ただ、雨が降ればすぐに表情が変わるのが林道。

  • 水たまり
  • 落石
  • 流水による溝
  • 崩れやすい斜面(法面)

これらは、道をフラットダートから一変させてしまいます。


画像:水たまり 晴れていても山に含んだ水が流れ出て水溜りが出現


画像:落石 山からの落石で部分的に大きな石が転がっていることも


画像:流水による溝① 綺麗なフラットダートに雨よる流水で溝が出来ています


画像:流水による溝② 上の溝ができた道は普段はこんなに綺麗なフラット

このように、「フラットだから安心」ではなく、“フラットっぽい”程度の心構えが必要です。
いわゆる「フラットダート詐欺」に遭わないよう、見極め力を育てましょう。

ガレ場:石の罠に要注意


初心者が最初につまずくのが「ガレ場」。
この「ガレ場」とは、林道において石や岩場が積み重なった足場が不安定な場所を指します。
大小の石が路面いっぱいに転がり、ラインを選ぶ余地も少なくなります。

特徴:


画像:崩れやすい法面(山側の斜面)にありがちな落石

  • タイヤが滑りやすい
  • 転倒→体力消耗→再転倒のループに陥りやすい
  • ライン取りに工夫が必要

ガレ場を一部ご紹介

画像:ラインを選べばそれほど厳しくはない軽いガレ場


画像:道一杯に石がゴロゴロと転がっているガレ場


画像:タイヤを通すライン取りが難しい、道幅が狭くて大きな石があるガレ場


画像:画像では分かりにくいかもしれませんが、結構きつい上り勾配になっていガレ場

対策:

  • 少しずつ慣れる・経験値を積む
  • オフロードバイクの特性・装備を活かす
  • グリップ感覚を身につける

「ガレ場が走れるようになると、行ける林道が一気に増える」
これは本当です。少しずつ“相棒のバイクと一緒に”克服していきましょう!

3.段差とクレバス:路面は三次元


オンロードの感覚では考えられない、上下の動きが出てくるのが林道。
段差や溝(クレバス)は、気を抜いているとバイクが止まったり、転倒の原因にもなります。


画像:フロントタイヤの前に助走が必要なわずかな段差が。初心者は要注意!


画像:急勾配の上りに段差が加わると難易度は各段に上がります


画像:流水で削られ軽いクレバス状になった路面


画像:やや深めのクレバス
出来るだけ段差や石の少ないラインを選べると通り抜けやすくなりますよ


画像:クレバスは浅いと思って進んでも深くなることも
ここまで深くなると引き返すことも困難になりますので、通り抜けできる確信の無い道であれば早めに先を確認しておいてUターンできる手前で引き返しましょう

ポイント:

・「通り抜けられるか」の事前確認も忘れずに
・勢い任せはNG(判断力が試される)
・無理せず引き返す勇気を

4.マディ:油断大敵な泥路面

マディとは英語の「muddy」のカタカナ表記で、泥だらけ、濁ったなどの意味があります。
つまりは黒土・赤土・腐葉土など、滑る・はまる・臭う泥の世界。
転倒リスクだけでなく、車体や衣服にも影響が出ます。


画像:黒土の泥。ここで転倒して泥を浴びると洗濯の面だけでなく、健康面も心配になります


画像:赤土の泥。粘着性が高くて落ちにくいのでタイヤを滑らさないように慎重に

注意点:

  • スリップ後に“道の外”へ飛ばないよう、速度コントロール重視
  • 粘着質の泥はタイヤのグリップを完全に奪う
  • 臭いや洗車も視野に入れて準備を


5.ロック:岩盤路面で滑らないために


ガレ場とは異なり、路面そのものが固い岩盤のケース。
濡れていると非常に滑りやすく、転倒時のダメージも大きいです。


画像:ロック① バランスを崩さないよう慎重に越えていきましょう


画像:ロック② こちらは湿った泥に覆われています

ロックでは岩盤の表面が濡れていたり湿った泥がついていると簡単に滑ります。
転倒時のリスクもグッと上がりますので、パワーの掛け過ぎなどにもご注意を。


6.その他の要注意ポイント


上記以外での要注意ポイントも以下にまとめます。

・水路のような路面
・木の根が浮き出た場所
・路面・路肩の崩落
・サンド(深い砂地)


画像:水路のような水たまり
路面が川のようになっていたり、深いと底の土が柔らかくなっていることもあります。


画像:木の根
表面に浮き出た木の根は滑りやすく上りではスリップして上がれなくなることも。


画像:路面の崩落
路肩の崩落で道が狭くなっていたり、場合によっては道全体が完全に落ちていることもあるので、先が見えない時でもすぐに止まれることを心がけておきましょう。


画像:サンド
まるで海岸の砂浜ようなふかふかの砂地はタイヤをとられてのスタックにご注意を。
こういった砂地は河川敷や砂防ダムの上などでごく稀に見かけます。



これらのポイントはたとえ遭遇頻度が低くても、見かけたときに正しく対処できるように覚えておきましょう。

まとめ:自分の“得意”を知ろう


林道にはフラットな道だけでなく、ガレ場・泥・段差・岩など多様な路面があります。
それぞれの特徴と注意点を知っていれば、きっと「自分の好きな路面・苦手な路面」が見えてくるはず。

バイクのセッティングやスキルを磨くことで、行ける道はどんどん増えます。
それこそが、林道ツーリングの奥深い魅力なのです。


そもそも林道に行こうと思った時点で普通の道では満足できていないのでしょうから、この記事をキッカケにディープなオフロードの世界へもう一歩、足を踏み込んでみませんか。
ちなみに私は「ガレ場好き・マディ苦手」ですが、バイクもそれに合わせてセッティングをしています(笑)

今回は林道で見かける路面の紹介でした。状況にあわせた走り方やバイクのセッティングについてはいずれ触れてみたいと思います。
まずは色々な路面を体験して自分の好みの林道を見つけてみてくださいね。

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